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事案は上告人(貸主)と被上告人(借主)との間の金銭消費貸借に係る二つの基本契約が締結され、各基本契約に基づいて取引が行われたところ、 被上告人は上記取引は一連のものであると主張しました。
これに係る各弁済金のうち、利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金(不当利得)が生じていると主張し、上告人に対し過払金の返還を請求する事案です。
最初に締結された基本契約に基づく取引について生じた過払金を、その後に締結された基本契約に基づく取引に係る債務に充当することができるかどうかが争われました。
<判旨要約>
●〜第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り、第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は、第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されない。
●〜第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず、第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができるときには、第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を第2の基本契約に基づく取引により生じた新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するものと解するのが相当である。
 
この事案の場合は、別個の契約であり、第1の契約の過払い金は第2の契約の債務には充当されないという判決です。
そして、この事案のような場合で一連のものと認められるには以下のような規範を充てるべきとしました。

●その失効手続の有無、第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況、第2の基本契約が締結されるに至る経緯、第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して、第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず、第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基つく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には、上記、合意が存在するものと解するのが相当である。

したがって、同一の契約番号や同一カード、限度額、金利等が同じなら、総合考慮して連続した貸付契約ということですね。
[平成19年6月7日]
<判旨要約>
弁済によって過払い金が発生しても、その当時他の借入金債務が存在しなかった場合には、上記過払い金は、その後に発生した新たな借入金債務に当然に充当されるもの ということはできない。
本件各基本契約は、同契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当した結果、過払い金が発生した場合には、上記過払い金を、弁済当時存在する他の借入金債務に充当することはもとより、弁済当時他の借入金債務が存在しないときでもその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。

【平成19年7月13日最高裁判所第二小法廷判決】
<判旨要約>
利息制限法の制限超過利息を受領した貸金業者が判例の正しい理解に反して 貸金業法18条1項に規定する書面の交付がなくても同法43条1項の適用があるとの認識を有していたとしても,民法704条の「悪意の受益者」の推定を覆す特段の事情があるとはいえない。
争点は、各貸付の都度、各回の返済期日、各回の返済金額及びその元本・利息の内訳 並びに融資残高を記載した償還表を交付しており、借主はこれを知った上で貸主の預金口座に払込をした場合(みなし弁済の適用要件を満たしている場合)、貸金業法18条1項に規定する事項を記載した書面を交付しなくても、貸主は各弁済時点において、みなし弁済の適用要件を満たしていると 信じていたと認められるか、つまり、民法704条の悪意の受益者に該当しないと言えるかどうかということです。
過払い金は、法的には不当利得(民法703条)ということになります。
しかし、同じ不当利得でも、それが悪意(不当利得ということを知っていて利益を受けた) の場合、利息をつけて返還しなければなりませんが(民法704条)、この判決では「悪意の受益者」の推定を覆す特段の事情があるとはいえない、ということです。
これについては、覆す判決は、まだありません。